黒い砂漠の中心で!

朝日が昇り今日も釣りの成果を確認する。
これを売って今日の食事代と宿代を払ってしまうと残りはスズメの涙。

スズメ

チュンチュンチュンチュン♪
クロン定食と焼き鳥どっちが安いかしらと銭勘定。そして腹が膨れる方はと考えていると口から涙が流れだす。

Viaさんの写真

「白蛇様、釣りには専用の椅子が良いと聞きました」
「Viaさん、この椅子ではダメなのかしら?」
「何やらマノスの釣り椅子の方が良いらしく修理もできるとか……」

そんな言葉を交わしながら手に渡されたものは斧。しかも使い古された何処から持ってきたのかすら分からない代物だった。

「どういうこと? また木を斬れとでも言うの!?」
「なんでも規格角材が100個必要だとか……」

木こり

潮風で肌はベトベトするし、今度は汗でベトベトするし、二代目『鈴〇木その子』と言わしめた私の自慢の白い肌が、こんがりと焼けていくトーストのように色づいていく。

「私は白蛇様よ!! 白蛇教の教祖様よ!!」

とつぶやきながらも生きるために選択せざる負えない労働。
風の匂い、太陽の温み、囁いている葉を見ていると「もう秋なのね」と高揚する心に戸惑った。

「知ってましたか、なぜ秋に葉は色づくのか!?」
「何故なのかしら?」
「春は恋に口紅染めて、夏の夜空に夢を見る。秋は実った恋に頬赤らめて、冬は抱きしめて知る愛の暖かさ」

紅葉

「何言ってるのこの子。肥える秋でしょっ!! そうそう修理できない椅子ってViaさんと同じね」
「どういうことですか?」
「使い捨てってことよ!」

「ゲゲッ!!」
「まぁー、恋と同じよね。愛にならなかったから次の恋を探す。そして新たな恋に期待するけれど結局同じような人を選んでしまうものよね。使い捨てでも同じものを求めるって時点で愛なのかしらね」

「捨てるんですか? 拾うんですか?」

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