この地に来てから数週間が経過した。
潮風は私から潤いを奪い、胃の奥底から手を出すかのように水分を求めた。
耳障りな波のノイズ。慣れ慣れしい住民。ここは私の求めている場所ではない。
早く研究施設を見つけ、この黒いオーラの謎を解き明かしたい。
しかし資金不足という現実が私の理想を破壊する。

「資金を調達してきなさい」
「白蛇様、住民から頂いた釣り竿しかありません」
ここから釣り竿を垂れる日々が始まる。
火で炙ったような砂浜。眩暈をいざなう風。照り返す紫外線。
「白蛇様、これを背にしてください」
「これは何!?」
「赤ちゃんクリオの釣りリュックというそうです」
「これを私に背負えと!!」
「どうも魚が釣れやすくなるとか……」

「まぁいいわ、非常食として背負ってあげるわ!!」
釣りは孤独との闘い。
若干ではあるものの釣りの成果が上がったように感じるのは、背中からの温もりと同じように気のせいである……っと
今日も日の入りと共に海鳥の唄が鳴り響く。
「いいわ、大きくなるまで生かしておいてあげる」
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