黒い砂漠

二枚めくったカレンダー。印を付けていた27日。
何でもない日だったけれど……意味のない数字だったけれど……記念となったこの日を迎え、感謝の意味を纏う言葉を抱く。

楽しさに笑いを響かせて、嬉しさに感じた心の共鳴。けれど悲しく見上げる雨空に、太陽の笑顔を待っている。

ベリア

「あっ」という言葉の尺に、短く感じる時間の幸福。長く感じる時間の降服。平等ではないと知れるのは、夜の長きを知った者だけ。

せせらぐ川のほとりに立ちて、その冷たさに目が覚める。移りゆく季節の足並みに、また時間の不平等さを懐かしむ。

「あの頃は」って言葉に笑い合い、心地よい聞きなれた声がする。誰もが不安からのスタートだった。だからこそ、ここまで来て欲しいと手を招くんだ。

「ありがとうございます」

足りな過ぎるありふれた言葉。これ以上を唄えない吟遊詩人。
「もっと」とか……「いっぱい」とか……頭に被せて欲しくない唄声に、天高く帽子を投げやって、祝いの祝辞としようと思う。

「あざ~す」

被るなら軽い方がいい。けれど重みは私に背負わせて……。

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